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男狩り隊始動の前夜、見えないものをみる

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次の日曜日、真子さんとマナミさんは、サイキック白澤と都内某所にあるおしゃれなカフェで落ち合う約束をしました。

真子さんは、大学での授業中、教授の目を盗んでせっせと作り込んだ、男狩り隊とはかくあるべきかという綱領をマナミさんとクール白澤に披露しようと準備していました。

夕方近く、白澤との待ち合わせの30分ほど前にカフェに着いた真子さんとマナミさん。真子さんは、マナミさんに、なぜ今、男狩り隊が日本に必要なのか、ということを延々とまくしたてます。

「ゆくゆくは日本全国に支部を作って、会員は1千万人くらいにしたいね」と鼻息も荒く抱負を語る真子さんに、「そんな、先輩、大げさな」と諭すマナミさん。< この人はもしかしたら宗教団体でも作ろうとしてるんだろうか >と開いた口がふさがりません。

と、入り口に目をやると、時間ぴったりに、ビューティ白澤が現れます。

クール美女の白澤は、白地ボトルネックのニットトップと黒のパンツといったモノトーンスタイルで相変わらずスタイリッシュに決めています。ツヤのある長い黒髪が少しばかり雨で濡れています。

「本日はお足元のお悪い中、ご足労いただき誠にありがとうございます」真子さんは立ち上がって白澤に軽く頭を下げます。< これから講演会でもやるつもりかい、んなことはどうでもいいからさっさと本題、本題 >とマナミさんは横目で曇ったガラス窓の外を見ます。

季節は6月、梅雨時期ということもあってか、昨日から小雨が降り続いています。夕刻にはあがるとウェザーニュースには出ていましたが、今ひとつ信用ができません。

雨にたたられたけだるさが、白澤をいっそう美女たらしめています。

白澤がソファに腰をかけるや、「え~、というわけで、シラサワさん、また恋活イベントに一緒に行きましょうね」と真子さんは愛想笑いを浮かべます。「ええ、」とスタイリッシュ白澤も軽く笑みで応えます。

「ところで、これからお話することは、これで日本が大きく変わるかも知れないという、とても大事な話です」と真子さん。それを聞いて、< アホくさ、また、おおげさな >とマナミさんは吹き出しそうになります。

クールアンドビューティ白澤は、それに何の反応も示さず、アイスコーヒーを通りがかりの店員に頼みます。

< たぶん、もうシラサワは、すべてお見通しなんだね >マナミさんは確信します。

真子さんは、大学の授業中、ノートに書きためた、男狩り隊の構想を白澤にここぞとばかりに披歴します。

「恋活をしたい女子を集めたサークルで男狩り隊というネーミングでやろうかなって考えています。女子を対象とした集まりで、最初は、私たちの学内で恋活サークルとして立ち上げ、ゆくゆくは男子も含めたサークルにして、数年後には全国規模の組織にしたいと思っています。活動に必要な資金は、みつともユーフォージェイの支店長と知り合いなので、なんとかその人間を口説き落して調達しようと思っています」と一気にビューティ白澤に真子さんは語ります。

< 数年後って、就職もしないで、そんなことやってんのか。それより、ちょっとまて、おい、そのみつともの支店長ってのは、うちのお父さんのことかい >とマナミさんは耳を疑います。

確かにマナミさんの父親はみつともユーフォージェイ銀行の三又支店で支店長をやっています。銀行強盗にいつ襲撃されるかわからない身です。そうした事態に備え、健康にも日頃から気をつかっていて、マナミさんの作るたい焼きにも口をつけません。

クール白澤はというと、真子さんの話になんの反応も示さず、全く関心がないふうで、相槌の一つも打ちません。うわの空で何か他の事でも考えているかのようです。

やはりどうしても、男狩り隊には白澤の力が必要と腹を決めたのか、真子さんは、「活動資金は潤沢にありますから」と嘘八百で泣き落としにかかります。< だから、どこにそんな金があるっつ~の。お願いだから、うちのお父さんの銀行だけは襲撃しないでね >とマナミさん。

「白澤さんに恋のキューピット役をやってもらって、男女の仲をとりもって欲しいと思っています」そういいながら、ジッと真子さんは、スレンダー白澤の出方をうかがいます。

「私が相性の合う男女をくっつけるということですね」とそこで初めて白澤が静かに口を開きます。ここまでに30分はゆうにかかったでしょうか。

「そうでございます。今や日本は少子化がとまりません。とにかく男女をくっつけて、やってもらうことをやってもらわないことには」と真子さん。

「このマナミは私のいうことを毛ほども信じてくれません。でも、私は本当に心から日本のことを思っているのです」口角泡の真子さんに、< ホントは、自分が良いオトコを見つけたいだけなんだろ。シラサワにはとっくに見抜かれてるぞ >とマナミさん。

「私は日本を救いたいんです。このままでは、とにかく、やることをやってもらわないことには、日本は沈んでいってしまいます」と、真子さんの感情はさらに高ぶりを増します。< あんたは、少子化担当大臣かよ >マナミさんは飽きれて物もいえません。

「できれば私が日本中の殿方のお相手をしたいくらいです。ホントに、心底そうしたいところですが、なかなか、そうもいきません」

真子さんの口上は止まりません。街宣でもやるかのように滔々とまくしたてます。

マナミさんもいいかげんウンザリです。

そのうち、しゃべり疲れたのか、「どうでしょうか。こんな感じですが。白澤さん。ひとつお力をお貸しいただけませんでしょうか」と真子さんが最後の詰めにかかります。

「とにかく、やることをやってもらわないことには」とテーブルにひれ伏すようにして懇願する真子さん。

すると、しばらくイスにもたれ、半分眠っていたかのように聞いていたビューティ白澤が、やおら姿勢を正し「分かりました。やりましょう」と静かに口を開きます。

< やるのか、それ、おい、シラサワ >思いもよらぬ展開にマナミさんはテーブルの上のコップの水をグイッと一飲みします。真子先輩のアホ臭い演技に喉がもうカラカラです。

「やることをやってもらうことは確かにとても大切な事です」とクール白澤の目にも小さな光が宿っています。

外は雨がすでにあがっていました。日もだいぶ暮れてきて、帰宅を急ぐサラリーマンで通りがざわつき始めています。

「お話はよくわかりました。男狩り隊の具体的な活動内容が決まりましたら、またご連絡ください。今日はこれから日課がありますので、これで失礼します」白澤はそういってイスから立ち上がろうとします。

「日課、日課というと、あの、歩道橋の上でなんとかいう」と真子さん。

「ええ、そうです」

「もし、お邪魔じゃなかったら、一緒にいいですか」

「別にかまいませんが」

「そうですか、それじゃ、お供させていただきます。もう私たちは一蓮托生ですから」

それから、3人はカフェを出ると、そこから少し歩いた所にある、歩道橋へと向かいます。

クール白澤のお気に入りの歩道橋は都内に5カ所、千葉に1カ所あります。3人が向う歩道橋も白澤のお気に入りの一つです。

なだらかな傾斜になった歩道橋の中央あたりにくると、眼下に地下鉄の駅の出入り口からの人々の往来がよく見えます。ちょうど帰宅時間で、出入り口付近は人の行き来で慌ただしくなっています。

真子さんやマナミさんにとってはただの雑多な風景にしかすぎませんが、クール白澤には何か特別な世界がそこに広がって見えているかのようです。

マナミさんは歩道橋の上から下を覗きみたり、周辺に目をやったりと、所在なげです。真子さんも、ここの一体何がおもしろいのかといったふうです。が、それでも2人ともクール白澤と一緒にいるせいか、なんとなくふだんと違う何かがこれから起こりそうな、そんな気配を感じていました。

「でもまあ、たまにこういう所から都会の景色を見るのもいいもんですね」と真子さん。

「見えますか」と隣でビューティ白澤が遠くに視線を這わせ、声を潜めるようにしていいます。

「え、なにがですか」と真子さんは聞きます。

「見えないものが、です」と白澤はゆっくりした声のトーンで答えます。

「え、見えないものは見えないですけど」不思議そうに真子さんは白澤に聞き返します。

「これから、ふだん見えないものが見えます」と静かに白澤が答え、目を閉じました。

と、その時、ツーンという低周波が真子さんの耳の底で響き渡ります。白澤は真子さんの背後に回ると、真子さんの両目を手で塞ぎ、2,3秒後にその手を放します。

一瞬、何が起こったのかと、真子さんは自分の目を疑いました。真子さんの目の前に、確かに、ふだん見えない世界が広がっています。極彩色のとてもきらびやかな世界、もう一つはほの暗い写真のフィルムのネガのような暗転した世界。その両方がフラッシュのように入れ替わっています。

何、なんなの、これは。一体どうなってるの。真子さんは一瞬めまいを覚え、フラついて地面にへたりそうになりました。しかし、不快感はありません。酔っぱらった時のような開放感と爽快感で、むしろ気分は高揚しています。

傍で、その一部始終を見ていたマナミさんは、あの熊も恐れるという真子先輩を一瞬にして手玉にとるサイキック白澤のパワーにあらためて驚愕してしまいました。

しばらくすると、歩道橋の周辺がざわついてきました。みると、歩道橋の下で人々が3人のいる方角を指さして何か口々にいっています。そのうち、パトカーも数台やってきて、警官が歩道橋の上の3人を仰ぎ見ながら無線で何か連絡を取り合っています。

ふと、マナミさんが後ろを振り向くと、どこからか湧いてでもきたかのように、数十人の小学生がパチパチと写メをとっています。< ここでたい焼き売ったらさぞかしいい商売になるかも >マナミさんは、こんな時でもたい焼きのことが頭から離れません。

「さすが、シラサワ、すごい集客力だわ」とマナミさんは驚きます。< これ、都知事選かよ >と真子さんはとぐろを巻くように集まった眼下の人々の賑わいにどぎもを抜かれます。

真子さんには、歩道橋の下に集まった人々がまるで「男狩り隊」の結成を祝福でもしているかのように思えました。浮かれ気分で、マナミさんに、

「マナミ、この際だから、下の連中になんかいってやれ、せっかくこんだけ集まってんだから」と発破をかけます。

「なに、なにをですか」マナミさんもあまりの人の多さに焦りまくります。一体何があったんだと、人々が次から次へと集まってきて、駅の周辺は立錐の余地もありません。

「ちょうどいい。男狩り隊やりますって、景気付けに一発いってやれ、マナミ」真子さんが横でけしかけます。

そこで、マナミさんも、ええい、もうこうなったら覚悟を決めてやるしかあるまいと、右手でこぶしを作りそれを大きく振り上げて、腹の底から周辺に響き渡るような大声で叫びます。

「これから、男隊やりま~す!」

「ほれ、マナミ、もうちっと大きい声で、連中にいってやらんかい」

「これから、男隊やりま~す!」

もう歩道橋の下では、やいのやいの拍手喝さいの嵐です。ピーピーと口笛を鳴らすヤンキーもいます。



後日、その一部始終がYoutubeにあがっていて、それをマナミさんの妹の麻美さんが目にします。

あら、やだ、おねえちゃん、何やってんの、え、なに、歩道橋の上で何叫んでんの。「これから、おとことやります!」あ~、もう何やってんだか、前からきてんじゃないかと思ってたけど。あ~、もう恥ずかしくて明日から学校いけね~。



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